日本研究皮膚科学会 (JSID) 総会 @高知
Mao Kobayashi: Japanese cancer blogger dies at 34
BBCの記事がなんだか一番心を打たれた。
http://www.bbc.com/news/world-asia-40378443
死に際して
全ての人がいずれ死にます。全ての生物の宿命です。
そのことに対して、日本人は海外の人に比べるといささか準備ができていない、と感じるのは、自分が医者という特殊な職業に就いているからかも知れません。
ただ、これまで死を覚悟した瞬間というのは数回あり、それはバイクの事故だったり登山中だったり、海外旅行中だったり、実際に結構重い病気に罹ったりな訳ですが、いまこうして元気にしている訳なのでそれほど説得力があるわけでもありません。
ただ、世の中が、小林麻央さんの死に対して気安く早すぎるとかとやかく言うことに対して少なからぬ違和感を感じます。彼女には一度だけお目にかかったことがありますが、本当に天使のような方で、その人が、死に直面しながら、癌をはじめとして苦しんでいる人達に大きな希望を与えることができたことは、何にも代えがたい素晴らしいことだと感じます。
死を意識して、その中で全人的な愛を世界に与える事ができた方に対して、早すぎる死とか、そういう言葉は適切ではない気がしていて、僕はただただ心から尊敬しているし、また、そのことに対する市川海老蔵さんの会見にも心動かされました。
そんな中、朝のテレビを見て違和感を覚えたのは、海老蔵さんの会見中、カシャカシャというシャッター音。マスコミって、ひどいな。心ないな。。。そしてマスコミがやっていることが、国民を満たすためにやっているのだとすると、日本という国、そして日本人もひどいな。。。
多忙の日日
朝から夕方まで仕事がびっしり詰まっていて、なかなか忙しい日々です。
いつまでもこういう生活を続けるわけにも行かないので、不義理もやむをえず、最近はいろいろな仕事の依頼を断らざるを得なくなっています。。。
周りに嫌な思いをさせていることは良く理解しています。本当に申し訳ございません。。。
一橋ビジネスレビュー 2017年SUM.65巻1号―ノーベル賞と基礎研究――イノベーションの科学的源泉に迫る
最近忙しくて(これは仕事だけでなくつきあいだったり遊びだったりするので同情は不要です)本がほとんど読めてなかったのですが、これは読みました。
この本を読んで、特に自分自身がこう変わるべき、というような思いを抱くわけではないわけですが、ただ、大隅先生の研究がどのように発展していったのかを詳細に記載されているchapterがあり、そこは楽しく読めました。ジョギング仲間の吉森先生の仕事を高く評価されているあたり、なかなかの力作です。
あとは、韓国がサイエンスの発展に力を入れている記事も感じる事がありました。
指定国立大学法人の指定に東大・京大・東北大
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/06/1387558.htm
昨日発表されました。
阪大でなく東北大、というのはライフサイエンスを専門にしている私からすると意外な結果です。というかライフサイエンスであれば、阪大の方が京大よりも上という感覚が僕の中ではある位なので。。。
さて、指定国立大学になるとどのようなメリットがあるのかが、巷に溢れている記事からは読み取ることができません。
京大の広報からは
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/events_news/office/kikaku-joho/kikaku/news/2017/170630_1.html
の中で、
「指定国立大学法人制度は、優秀な人材を引きつけ、研究力の強化を図り、社会からの評価と支援を得るという好循環を実現する戦略性と実効性を持った取組を提示でき、かつ自らが定める期間の中で、確実な実行を行いうる大学を指定国立大学法人として文部科学大臣が指定するものです。
指定国立大学法人は現在の人的・物的リソースの分析と、今後想定される経済的・社会的環境の変化を踏まえ、大学の将来構想とその構想を実現するための道筋及び期間を明確化することが求められます。また、社会や経済の発展に与えた影響と取組の具体的成果を積極的に発信し、国立大学改革の推進役としての役割を果たすことが期待されます。」
とあります。これって、返って面倒なことが増えるだけなのでは、、、という気がします。それにこういう大学の格差・差別化を行うことがどういう意味があるのかは、文科省の本気度次第なのでしょうか。。。少し心配です。これまでも大学院大学を推進する政策などありましたが結局なんのこっちゃよくわからなかったです。
厚労省がとった、新研修医制度は、さまざまな点で医療や医学の崩壊を導きました。その反省はほとんどないし、いいところがあまり見えてきません。
大学病院もいろいろな審査をうけて、補助金をコントロールされる時代ですが、そういうことが、病院や医者の業務を増加させ、医師はちょっとお疲れモードになり、研究をやろうという人が減ってきている、というのは多くの人が感じているところです。
若い人が単にもっと世界を若いうちに見ればそれが一番シンプルかつベストな方針で、そういうことを推進できるのであればいいけど、それって、3つの大学が推進していくようなものではなく、世界的に見たら所詮日本の大学なんてどこもドングリの背比べのような気がしています。いろいろと目標をたてるとあるけど、餅をいくら絵に書いたって、実質がどれだけ変わるのか、、、、。
まあ、僕がごちゃごちゃいっても何も変わるわけではないので、その中でベストな道を探っていくしかないです。
科学もビジネス
研究の結果は論文にしてなんぼな訳ですが、そこにもビジネスがあるということを少しは知っておく必要があります。
http://gigazine.net/amp/20170630-robert-maxwell-change-science
人種でひとくくりにするのは良くないとわかっていますが、やはりシステムはユダヤ人が築き上げるんですよね。。。彼らのビジネス・国際感覚は凄い。
ただ、腐敗したシステムの中で、サイエンスが成り立っているわけで、僕もimpact factorとかjounalのroyalityとか、そういうことに躍らされている事実は否定できません。
NIHがjournalを作ったらどうなるのだろう。。。
日本研究皮膚科学会 (JSID) 総会 @高知に参加しよう!!
千葉への出張とトレラン
千葉大の免疫・アレルギーの先生方にお声がけ頂きました。
実家にもよれてよかったです。しかしながら、実家が10数年前に引っ越ししてからというもの、千葉駅から実家へ一人で行けません。僕が高校生だった頃から道も随分変わったりして。。。
もっと実家にいければよいのですが。
さて、千葉大は免疫・アレルギーがしっかりしています。
京大はアレルギーは呼吸器内科・小児科・皮膚科・耳鼻科が個別に対応していますが、京大にもアレルギー科として包括的に対応できる診療科ができるといいのになあ、と思います。
というか、思うだけでなく、 僕自身が率先してすすめていくべきなのでしょう。。。
その後は、親と一緒に食事したりして、少しゆっくりし、さらに、北丹沢12時間山岳耐久レースに参加してきました。45kmと距離は短いですが、累積標高が3000mくらい。そんなにしんどいコースではないのですが、来月末のUTMBに向けていい練習になりました。
もう少し前にならばないとあかんですね。。そのあとトレイルで大渋滞に巻き込まれて結構時間のロスをしました。まあ、練習なので良しとしますが。
前日は仕事が立て込んでいてため3時間睡眠で眠い。。。
UTMBでは40時間ほど走りっぱなしになるので眠いとか言っててはいけないのですが。
こういう渋滞がしばらく続きました。飛ばせないのである意味エネルギーのセーブにはなるのですが、マイペースで登れないのは逆に疲れます。
レース後に水浴び。。。そして靴も洗いました。
香港の大会でご一緒させていただいたクニさんと。彼はぼくよりも30分近く早くゴールして、表彰されてました。凄い!
ちなみにこんなコースです。reliveでみると、よくもまあ、山の中をこんなにごそごそしとるなあ、、という感じ。
https://its-there.com/sokuho-kitatan19th-14337.html
感覚免疫研究会@岡崎
人生初めての岡崎です(僕の記憶がただしければ)。
感覚免疫研究会という超マニアックな研究会に参加してきました。普段お目にかかることのない神経系の研究者と異分野交流がはかれて最高でした。
教授になって2年経ちましたが漸くどういう研究会が自分に取っては大切なのかが見えてきたので、これからは今よりも少しは効率的に生きていけそうな気がします。
人生余裕がないといい研究やアイデアも生まれてこないと思うので、時間を大切にしていきたいとつくづく思っています。
駅近くはガールズバーが沢山ありました。居酒屋、床屋、カフェなどが混在している地域は大体僕好みです。
生理研のカンファレンスセンターで開催されました。
落ち着いたキャンパスで、緑も多く、研究にはいい環境と感じます。
気温は35度近くまであがり、ジョギングには不向きでした。5kmくらい町をぶらぶらとジョギングしましたが汗だくに。
二次会へ。
神経と免疫とでは実験の組み立て方がかなり違うことがよくわかりました。
免疫はかなり理詰めの実験を組み立てないとだめですが、神経はまだかなりアバウトで、それがいいとか悪いとか言うわけではなく、対象とする分野が違うと各々特徴が異なると言うことを改めて感じたわけです。
生理研のロッジに泊まりました。
なんだか懐かしい景色。
ここのおはぎはかなりレベル高かった。
学会後にみんなでお昼へ。おいしいし、値段はとてもリーズナブル。
ということで、また岡崎に行ける日を楽しみにしています。京都まで結構すぐだし。。。あと、deepそうな夜の町を飲み歩くのもたのしそうです。
気合の一日
私の歩んだ道 「夢を忘れない」 (皮膚病診療)by 宮地先生
皮膚科の国内のjournalは結構あって、
日本皮膚科学会雑誌
臨床皮膚科
皮膚の臨床
皮膚病診療
デルマ
西日本皮膚科
皮膚の科学
Visual Dermatology (これは私も編集委員をやってます)
など。。。
これらの雑誌は僕のところに一度届きますので、とりあえずさっと目を通します(通すようにしています)。
皮膚病診療で、宮地先生が「私の歩んだ道」の項で「夢を忘れない」という記事を載せてられました。
まさにエネルギーの塊ですね。。。
改めて、僕らは「失敗を恐れることなくチャレンジし続けるべき」と感じました。
戦後の団塊の世代の次の世代の我々はよく、「もやし」などと言われてましたが、本当にそうなんです。もやしにはもやしの良さもあるのですが、どこか寂しい。
そして、僕の次の世代が今、教室に入ってきています。この世代はこの世代の特徴があります。自分のこともよくわからないので、他人のことなどわかるわけもないのかも知れないけど、ただ、みんなが幸せで楽しく過ごしてもらいたい、という思いはあります。
さて、「夢を忘れない」、というのは大切なことです。これは僕の場合、「臨床の疑問を忘れない」、のが今一番大切なことです。諦めずに思い続けています。かなりしつこく。
優秀な人は、夜型、生活はmessy、そして口が悪い
https://curiousmindmagazine.com/science-says-highly-intelligent-people-messy-profane-night-owls/
かなり当たっていると思う。。。
そして僕には当てはまらない。。。
Kings College London
国際炎症学会のためにロンドンへ出張中です。King's College Londonの循環器内科の大津教授といろいろとdiscussionさせていただきました。
Nikonのimaging centerや電顕センターなども見学させてもらいましたが、海外と日本の一番大きな違いは共同利用機器や施設の充実度です。京大も萩原先生が頑張ってくれていますが、やはり大きな違いがあるのは否めません。
日本でこれからまともに研究しようという人は減って当然でしょうね。
cryo電顕とか3D電顕、omics解析などこれからは個別の研究室ではとても対応できないような技術が進んでいる中で、縦割り社会がずっと続いている日本は、根本的な構造改革をしないとサイエンスでは浦島太郎になるのは目に見えています。それにもかかわらずほとんど何も変わらないのだから、どうしようもないです。
Lancetの第一巻。1823年の発刊です。
イギリスは何が凄いって、僕は歴史があることだと思います。
そして、教育。この二つがあるので日本と同じような国力でありながら、足が地にしっかり着いています。
imaging centerは圧感でした。金曜日の遅い時間でしたが、多くの研究者が気合いを入れて実験していました。
テムス川を1時間ほど一緒に散歩して、そのあと、ビールを2杯!!
イギリスはやはりビールですね。
医科歯科の田賀先生ともその後合流してeuropean tasteのインド料理へ。
大津先生にごちそうになりました!
さらに、二次会にも連れて行っていただきましたが、写真は掲載しないことに決めました。
How I Became a Clinician Scientist in Dermatology—A Tale of Serendipity, Wise Mentors, and a Good Pinch of Tenacity
興味のある方はどうぞ。。
http://www.jidonline.org/article/S0022-202X(17)31548-8/fulltext
世界炎症学会 World Congress of Inflammation in London
参加してきました。
まだ学会そのものはあと二日あったのですが、水曜日の外来や回診、カンファレンスなどはできるだけ休みたくないのでプログラムの途中で切り上げて帰国しました。
東京医科歯科大学から5ヶ月Imperial College Londonに留学している学生さんと食事に行きました。5か月というのは一仕事できるいい期間ですね。ただ、大学からのサポートは全くないとのことで、5ヶ月ロンドンで生活するにはかなり貯金しておかないと厳しいですね。
友人と一緒にカレー屋さんへ。かなりうまかったです。ロンドンは食事がおいしくない、なんて全く間違っています。
今回は日本からのsymposistは、東大の高柳先生、阪大の竹田先生、九大の小川先生と僕でした。医科歯科の田賀先生が座長をしてくださりました。
結構聴衆も多く、しかもレベルの高い方が参加しているので良い質問をうけることができてためになりました。
ホテル近くのreagent's parkの隣の丘を7往復しました。
いい運動になりました。
reagent's parkそのものは写真のように本当に美しい公園。
最終日の朝に走ってよい気分転換になりました。
ただ、仕事は溜まりまくっているので、精神的には相当追い込まれています。
日本は何を目指すのか
今回のイギリス出張では、King's College Londonの大津先生、Imperial College of Londonの小野先生など海外でPIをしている先生方とお話する機会を得られました。
今日本の医学教育がどのような問題を抱えているのか、なぜ大学ランキングが落ちるのか、などはやはり海外で戦っている先生が一番良くわかっていると感じます。
文科省やAMEDの関係者も、世界で活躍している研究者から意見をもらってはいるようですが、それがまだ全然反映されてないですね。せっかく国民が自民党だけで物事を決めていけるような体制を作ってあげたのに、それを全く生かしてくれてないです。
日本がまずモデルにするべきなのは米国ではなくてイギリスのような国力が近い国であることが望ましいのではないか、ということ。
そして、イギリスの優れている点は、とにかく教育に力をいれていること。
これに尽きるかと思います。政府はお金がない、といいますが、イギリスだって似たような国力ですが、教育は非常にしっかりやっています。その分医療費をうまく削減したり、また、無駄な道路などつくったりしてません。いまオプジーボが70歳や80歳の人にがんがん使われていますが、オプジーボを一人一年間使用するお金があれば、本当は大学で助教を数名雇えます。イギリスは絶対そういうことはしないです。
ある程度の年齢になったら延命の治療は受けずに施設にいって静かに人生を終えます。僕はそうやって死ぬつもりだし、それのどこが間違っているのかさっぱりわかりません。そういう議論を票集めのために先延ばしにしていく国のやり方は本当にずるい。
大学のスタッフを理想的には倍、それが無理でも5割は増やし、医学部の中でも研究ができる人のみならず、教育や臨床ができる人をきちんと評価して、そういう人のキャリア形成ができる様にしてもっと分業していかないと。。。教授は本当に疲弊していて、頭で考えずに脊髄反射でものごとを決断していかないと仕事が追いつかないのが現状です。
20年前に米国に留学したときに、皮膚科は4-5名教授がいて、一人は臨床と学生やレジデントの教育しかしてませんでしたがそれでもきちんとrespectされていました。
さらに日本は関連病院の維持まで大学が請け負わないといけないので、めちゃくちゃやと思います。大学教授になったあとでいい仕事ができなくなっていく人がもの凄く多いわけですが、それはもちろん個人の責任が多いけれど、システムそのものにも無理があると思います。。。
Don’t pay prizes for published science China and other countries should look again at how they pay bonuses and allocate grants that are based on individual research papers.
Natureの記事からです。
http://www.nature.com/news/don-t-pay-prizes-for-published-science-1.22275?WT.ec_id=NATURE-20170713&spMailingID=54477173&spUserID=MjA1NjE1MTA0OQS2&spJobID=1201858239&spReportId=MTIwMTg1ODIzOQS2
例えばですが、
Zhejiang Agricultural and Forestry University in Lin’An, for example, pays a flat rate of 500,000 yuan for a paper published in Cell, Science or Nature.
And it uses a table with equations to help calculate prizes for
publications elsewhere. For any paper in a journal with an impact factor
(IF) higher than 10, for example, the prize is IF × 1.5 × 10,000 yuan.
とのことです。
1元が17円位なので、Cell Nature Scienceに掲載されれば800万円くらいの報奨金がでるということで、こういうことは、中国では当たり前の様です。
羨ましくも思える反面、サイエンスが出世や生活のための道具として利用されてしまっているのではないかと感じます。
もちろん自分もある意味サイエンスで生きているのですから、非難はできないのかも知れません。ただ、やっぱなんかやっぱちゃうやろ、と思わざるを得ない。
イノベーターたちの日本史 米倉誠一郎著
一橋大のイノベーションセンターの米倉氏の渾身の作品。僕はやはり科学のイノベーションに興味があったので高峰譲吉や理研がどのように発展してきたかが理解できる
第6章 科学者たちの創造的対応――知識ベースの産業立国
終章 近代日本の創造的対応を振り返る
の二章が素晴らしく思えました。今後日本がどのように生き抜けるかについてヒントを多く与えてくれる本です。
強くお勧めします。
医学生・研修医に薦めたい ベッドサイド・ライブラリー
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03227_01
医学生や研修医でなくても魅力的な本がずらり。
ここに出てくる広田先生は僕の大きな影響を受けた先生です。
僕だったら何を薦めるかなあ。。。そういう機会を受けたらその時考えよう。